公開:Aug1 / 2019
最終更新:Sep30 / 2021
21 ページ /ATS に関する訂正
Sep30 / 2021 追記・第2刷以降修正済
初刷では劇中・軽井沢停車前に ATS 警報を鳴らしてしまいましたが,誤りです.鳴りません.
碓氷峠区間の ATS 警報は「『先の信号が停止信号である』ことを知らせるための ATS 地上子」を踏むと鳴ります.そして軽井沢駅の出発信号は,停車するまで「赤」です.では軽井沢駅出発信号に対応する ATS 地上子はどこにあるかというと「軽井沢駅ホーム横川方端,「登ってきた列車」の EF63 停止位置がギリギリ踏まない場所」にあります.旅客列車でも機関車単体の回送列車でも,本務機たる EF63 は同じ場所に停止しますので,基本的には鳴らないということになります.逆に鳴ったら「オーバーラン」です.
25 ページ /ブレーキに関する追記
Sep30 / 2021 追記・第2刷以降一部修正済
ディーゼルカーのブレーキに関して,特に「保ち」位置などは「ディーゼルカーには付いていませんね.たぶん.きっと.」としましたが,「キハ 40 形」などには付いているようです.
具体的には左回りに「運転(緩め)」「保ち」「重なり(抜取)」「重なり」「緩ブレーキ」「急ブレーキ」となっているようです.「重なり」位置ではブレーキハンドルが抜けず,そこから一段階戻した「重なり(抜取)」位置でブレーキハンドルが抜けるというのが・・・何でだろう?
また「保ち」位置に関しては長編成貨物列車の一時停車などでは頻繁に使われます.「重なり」位置で停止した後に「保ち」にしておくことで「機関車のブレーキを緩めればすぐに出発できる」ためです.逆に「重なり」のままだとどうなるかというと,先頭から最後尾までの「ブレーキ管」圧力が上がる(→ブレーキが緩む)のを待たなければならないため,発車に時間を要するなどのデメリットが生じるためです.
貨物列車が駅に停車した後に数刻置いて,発車するわけでもないのに「どがっしゃーん」と音を立ててわずかに動いた,というシーンを目にしたことはないでしょうか.あの「わずかに動く」が「重なり」から「保ち(機関車以外はブレーキを放してしまう)」にした結果です.大抵は停止時にどんどんと前に押し込まれるようにして,人に例えるなら列が前のめりになるようにして止まりますが,それがブレーキが解放されることによって貨車は「押し込まれた分」だけわずかに後退するのです.
「保ち」はその他の用途では抑速ブレーキ的に使用されるようです.
42 ページ /入換信号・識別標識に関する追記
Sep21 / 2019 追記・第2刷以降一部加筆済
劇中 10p,62p などで,機待線から「列車の居るホームへ向けて」発車する際に「識別点灯入換進行」と言わせています.待て待て,列車の居るホームに入っていこうとするのに「この先に列車はいないよ」って信号を出しちゃダメだろう・・・えぇ,その通りです.そこにはちょろっと複雑な事情がありまして.
実は信号機が示している「進路は開通しているし,列車もいないよ」と示している区間は「機待線からホーム端にある一旦停止標識までの間」だけなんです.そのため,機待線を出た機関車はホーム端で必ず一旦停車します.その先は機関車の軽井沢方に誘導係が付き,安全を確認しながら緑と赤の旗(手旗/フライキ)を振りながら誘導するので,それに従ってホームへ進入.連結直前に一旦停止,連結器の切換その他を行い再度微速後進,連結・・・となるわけです.
また,横川の下り機待線には灯火4つが十字状に並んだ「誘導信号機」も設置されていたようです(映像資料等で確認できる限りでは,です.他の機待線にもあったかもしれません.劇中 9p 下段,紫雅の左上方にこっそり描いています).これは点灯によって「信号機に寄れ」「信号機から去れ」といったように誘導係の振る旗と同じ意味を表示するものですが,今日公に残っている映像資料等では使用されていることを確認できません.いつ頃使用されていたんだろう?
76 ページ /脱線事故に関する追記
熊ノ平の軽井沢方,再び上り坂になる地点で,やはり EF63 のすぐ隣に連結された比較的軽い車輌の軽井沢方の軸が脱線した,という事例もあるそうです.
82 ページ /「戸閉め」に関する追記
Sep21 / 2019 追記
いわゆる「旧客」等,旅客乗降用ドアが手動な時代がありました.当然「戸閉め合図灯」なんてありませんし,完全手動なので走行中に開けることもできます.むしろ停車中・走行中に関わらず開いているのが普通で,車掌も気にしなかった・・・という往時の証言や映像資料も残っています.
さてそんなところで EF63 は何を合図に発車していたのか.ここで登場するのが「駅長」です.列車の発車には駅長(あるいは助役等それに代わることのできる役職者)がホームに立ち,旅客乗降終了+発車時刻になると「出発指示」というモノを出します.古くはハンドベルを振ったりしていたようですが,近代になるとブザーと点灯表示器の合図になります.それを発車の合図として,EF63 機関士は列車を発車させていたそうです.(で,時々駆け込み乗車ならぬ,発車後の飛び乗りも発生する,と)
「出発指示」合図は現在でも東京駅東海道線ホーム,上野駅東北本線ホームなどのターミナルや,函館本線札幌駅各ホームなどでもこっそり稼働していたりします.音は「チリリリリリリリリン」だったり「ブーーーーーーーーッ」だったりしますが.今日では発車は「戸閉め表示灯」や「車掌からの合図」で行っていますので,「ホームの安全が確認できたので車掌はドア閉めれー」という合図程度,のものと化しているかもしれません.
左画像は拙著『えんじ色の二等客車::夜色の世界地図』より.
イメージとしてはこんな感じ.
90 ページ /「降る線」の再開拓に関する追記
Sep30 / 2021 追記・第2刷以降一部加筆済
「安中市観光機構」だけではなく「軽井沢町」「(有志団体)碓氷峠鉄路再生研究会」も関わっています.20 年間放置されていた時間の分だけ再生にも時間がかかっていますが,少しずつ往時の姿を取り戻しつつあり,「廃線ウォーク」などのツアーも行われているそうです.ちなみに筆者も「碓氷峠鉄路再生研究会」の協賛会員です.
余談ですが 2019 年,長野県に水害をもたらした「令和元年東日本台風(台風第 19 号)の影響で中尾川が氾濫状態となり,その水流が旧「登る線」の第9トンネルに流れ込み,その路盤を破壊しました.軽井沢までの「鉄路の復活」は新たな壁に直面しています.
94 ページ /Acknowledge に関する訂正
※初刷発行直後に頒布されたものを除き正誤表挟み込み,あるいは修正済み.
誤:
Page 60 and 67
Page 86
Page 70 and 71
Page 84
正:
Page 62 and 69
Page 94
Page 72 and 73
Page 92